鉄の女~マーガレット・サッチャー物語・なりきりメリル・ストリープの迫真

マーガレット・サッチャーさんは懐かしい政治家だ。
当時、日本は好景気でイギリスの苦しみなど今一つわからなかった。
そんな問題山積の沈みゆくイギリスで、しかも、まだまだ男社会の時代に首相まで登り詰め、祖国に繁栄を取り戻した女性、マーガレット・サッチャー。
同時代に日経新聞などで彼女の動静に慣れ親しんだ、かつてのビジネスマンが奥様と連れだって映画館に足を運ばれていた。

涙なくしては見られないというコピーだったが私は向こうが狙った場面では大丈夫だった。
夫婦の間はま、あんなもんだろうと仕事を持つ女性はおおかた、そう思うのではないか。
それよりも観衆とコラボする華麗なる加齢現象。あまりの超リアルさにシンクロして、場内には失笑が起きる。

「うーん」と考えさせられたのは、アメリカにぶちかます場面。
フオークランド紛争の時、
「アメリカはハワイをやられて黙っていたの? 黙ってなかったでしょ。私だってフオークランドをやられたら黙ってないのよ」と言い放つ。サッチャーさんのロジックはわかりやすい。

更年期障害というか、長く続いた政権の末期に男のメンツをつぶしてしまい、それが幕引きを誘ってしまう。
仕事を持つ妙齢の女性はああしたことをやってしまいがちだが、自戒すべきことだ。もっとも男性でもああいうことをしたら、大変だろうけど。

うるっと来たのは自らが決断した戦で戦死した人の家族に手紙を書くシーンと閣僚の一人のメンツをつぶしてしまった後、自らの更年期障害的な衰えに「果たして自分はこれで首相としてイケテルのだろうか」と一瞬自問する孤独な姿の部分だ。

人は誰しも、ふとした拍子に社会的生命が風前のともしびにさらされていると知る。
そして自らの力が衰えていることを悟るのだ。
その寂寥感をメリル・ストリープは厚みのある演技力で一瞬にして凝縮して見せる。

家族を誘ったら、「なんか気が進まない」と断られたけれど、それは正しい判断かもしれない。この映画は仕事を持つ女性こそが見るべきものだろう。
しかし、アカデミー賞主演女優賞とともにメーキャップ賞を取るだけのことはある。あそこまで似せられるってすごい!
(写真は東宝サイトより)
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ショートムービーが見られるといいですね。
出所にリンクしておきますね

by yoshi-aki2006 | 2012-03-20 15:35 | アンテナ | Comments(0)  

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