人の価値は人が決めるもの。自分で神になろうとするな、を教わる。

先日、久しぶりに美しいものを見ました。
新幹線の席で一心不乱にPCを操作している若者がいました。
新幹線の中でPCを操作している人の中には、キーボードの音もけたたましく、「ワタシ、只今、シゴト中ですからーッ!!!!!」みたいなテンション全開の人が多いので、辟易なのですが、私の隣の席の青年は違いました。
なんとも静かに、しかも、そのひたひたと核心に迫っていくかのような作業ぶりに、なにかとてつもないものを操作している気配が伝わってきて、思わず、チラリとその画面を見てしまいました。

あるネット上のプログラムのユーザーテキストみたいなものを作られているようでした。興味をもってチラ見してしまったのは今、私が大学院で勉強している数式が数多く画面に出てきていたからでした。

あー、私が今、習っている数学はこんなふうに使われているんだー(って式を見ただけではなんのことやら、よく、理解できないものでしたが、見る機会がどんどん増えているギリシャ文字がずらずらずらーとならんでいたので、

へー!
ほー!!

と、チラ見してしまったのでした。

あー、でも、さすがに疲れて寝てしまったのねーと静かになった隣席。
いや、どうも様子が違っていました。
青年は携帯端末で何事か静かに、熱く、調べごとをして、また、質量高く、放熱するほどの集中力でPCに向かうのです。

とうとう、彼は二時間の乗車時間中、一瞬も眠らないでその作業を繰り返していたようです。
私はというと、知り合いから勧められた本を途中まで読んでいたのでしたが、気がついたら固まって寝てしまっていました。

東京が近くなると、青年は京都の老舗の弁当包みを音も立てずにかたずけ、あっというまに脱いでいた靴をはき、リュックを膝に乗せて静かに車体がホームに滑り込むのを待っていました。とにかく物音をたてない人なのです。

「素敵な青年だなー」と思いました。
音もたてずに身じまいをしてしまえるその手際良さは彼の頭の良さを象徴しているように感じました。

私はその青年の骨相というか人相というか、どんな顔の人か見てみたくなり、駅のホームに降り立ってから、わざとゆっくり歩いて、青年と対面になる角度がくるまで待ってゆっくり青年のほうを見ました。

あー、私がたまに数学を教えてもらっている別の大学院の青年先生に似ている!
数学ができる人って似るのかしら?
ちなみに、私の数学の先生役をしてくれている院生先生も所作が静かな人です。

どんな人?というと高橋克典さんに黒ぶちの眼鏡をかけた感じ・・・・、でもないか、
もう少し、骨骨しているんだけど、
なかなか素敵な人でした。

なぜか私が見ている様子を青年も見ていました。
いやいや、なかなか、いい時間を過ごさせていただきました。

なにか大切なものを教わった時間でした。
その青年はその業界ではきっと知られた人だろうと思いますが、タレントでもないし、いわゆる著名人でもないいわば市井の人です。でも、仕事への打ち込み方が半端じゃない。もう、無我夢中で全身全霊で仕事している!

そして、それは伝わってくるものであり、年齢に関係なく、尊敬される。
人は馬鹿じゃないから、見て「分かる」「感じる」わけです。

人はこうでなくてはならないなあと思います。
仕事をするってそういうことでしょうとも。

きっと青年はこの先10年、20年で大きな業績を上げるでしょう。
こういう人が報われる社会なら信じられる、と思いました。生きる楽しみが一つ増えた気がします(青年の顔がきっといつかどこかに紹介される日が来るのを待ちましょうとも!)

こうした感動を与えてくれる青年に対して、自分で神様病にかかってしまう人も世の中にはいます。
名誉顧問とか、名誉総裁とか、人からそう呼ばれるのではなく、自分で名乗って、人にそう呼ばせる人てす。
そうした呼称で人を惑わし、心の弱い人をひれ伏させ、神様のようにふるまうエライサン病のオジサン、オジイサンってなんだか、見かける機会が少なくないように思います。

人の価値は人が決めてくれるのだから、年を取ったら淡々と生きていきたいものですね。

理想は宮沢賢治かな。

そういえば、先日、NHKで存命中の女性の伝記ドラマが放送されていましたが、何か、私にはわからないところが多かったです。
この人も神様に自分でなろうとしている人なのかなーと感じるところがありました。

というわけで、名誉や功名心にとらわれず、無心になすべきことを成すこと、目の前の仕事を熱く濃く、淡々としようと思った次第です。

そして、そんな思いで見た「ビューティフル・マインド」
ナッシュ均衡の生みの親であり、ノーベル賞を受賞したナッシュの自伝的映画です。
人の価値は人が決めるもの。自分で神になろうとするな、を教わる。_f0073848_2243179.jpg


ナッシュが歩んだ人生は理解されないものでしたが、人が彼の価値を評価してくれたという点で、まさに私にとってはタイムリーな映画でした。

さて、ヤフーファイナンスにコラムを書かせていただきました。

女性の登用が企業にもたらすポジティブ・フィードバック

女性の登用が企業の株価にいい影響をもたらすかも?
企業の関連記事にもリンクを張っています。お時間があるときに見ていただけるとうれしいです。

by yoshi-aki2006 | 2013-08-25 01:57 | ライフスタイル | Comments(2)  

Commented at 2013-10-24 01:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yoshi-aki2006 at 2013-10-28 05:57
コメントをいただいたことに今気がつきました。ありがとうございます。「自分で神様になろうとしている人」。

あの人もこの人も。

そうやって人に想ってもらって「自分は重要人物なんだ」と自分を納得させなければならない人なんだろうなと思います。

相手を洗脳してまで自分が神様でなければならない人の病に付き合いたくはないですよね。

つくずく。

また、興味を持っていただけるような記事が欠ければうれしいです。こちらこそありがとうございました。

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