吉本興業騒動でメディアも何も論点ずれまくり

吉本興業の岡本昭彦社長の記者会見を見ました。
ここまで言葉を費やして、語られる内容は少ないという歯がゆさがありましたが、メディアの質問も的外れだったと思います。

まず、弁護士を立てるということは、
「もう直接、当事者同士は話し合いしません。今後は弁護士を通してください」という意思表示にほかなりません。
それをしたのは宮迫さんと亮さんだったので、会社は「家族と思っていたのに、もう、弁護士を通してしか話をしないというのは何だとがっかりした」のでしょう(宮迫さんの会見で、会社が悲しがっているという説明を聞いたというくだりはここに呼応します)

しかし、メディアの記者は「どうして宮迫さんらと直接、会わなかったのですか?」と岡本社長を追求していました。
弁護士を立てる意味合いがわかっていないんですね。

宮迫さんは初めての経験だったので、弁護士を立てる意味を解釈間違いしていたのでしょう。
弁護士が「まあまあ」とその場のサポーター役になってくれるものだと思っていたのだろうと思います。

まさか直接、社長と話し合いができなくなるとは思っていなかった。
だからあわてて、弁護士さんに降りてもらった。

この時、業界の大物で社長とも話ができる民間人を仲介者にしていればもっと違った展開になったかもしれません。

しかし、そんなことよりも何よりも、ことの本質は違っています。
まずは反社会的勢力と金銭授受があった時点で、会社はアウトになる崖っぷちに立つことになるのに、
反社会的勢力の仕事を仲介したカラテカの入江慎也さんが吉本の芸人に闇営業をさせていた事実を知らなかったことです。

だから、コンプライアンス チェックを徹底します、という話になるわけですね。

ご存知のように反社会的勢力と取引がある会社は公的機関との取引全面停止、ほかの民間企業との取引も解除され、たちまち営業が成り立たなくなる会社存亡の危機に立たされます。

しかも、その会社の株主に多数のテレビ局が入っているとなると、
株主のモニタリング能力も問われることになるわけです。

すると、そのテレビ局が上場している場合、今後、海外などのアクティビストが株主として登場し、その経営陣の不備を突き、どんな要求をしてくるかもしれないわけです。

さらに、所属の芸人が闇営業で100万なり、なんなりを受け取っていたのなら、税金問題が発生します。誰がどのような格好で税金を納めるのか?
法人なのか、個人なのか?

宮迫さんらはまさかそんな重大事案につながるとはつゆ知らず、
入江さんから言われて現場に行き、芸して金をもらった、打ち上げでうまいもの食べた、飲んだ、臨時収入、おいしいなあ、
ということだったのだろうと思います。


だから、写真がマスメディアに出るとわかった時点で、金をもらったのかどうだったのかは絶対に正直に言わなければならなかった。

もし、金をもらわずに現場に行っただけなら、
「人脈商売をしているカラテカの入江慎也さんから、来てくれといわれて行ったけど、相手がどんな人か知らなかった。すみません」
ということで芸人としての明日があった。

しかし、「もらっていなかった」「いや、実はもらってました」では、
再々、そのような反社の人たちの宴会に行き、付き合いがあり、金銭授受があったのではないか、
だから、隠したのではないか、
会社もそういう反社の方たちとの付き合いがあるので黙認していたのではないか
と世間は思う。

嘘をついた時点、金をもらっていないといいながら、あとで実はもらっていたという事態がそれまでとはまったく違ったロジックになってしまう。

もはや、芸人数名の問題ではなくなって、会社の問題に拡大されて、しかもどこまでその話が膨張して破裂するか、わからない事態になっていった。一気に吉本興業、民放、仕事を依頼していた公的機関、海外企業も巻き込んだ、吉本興業・存亡の危機問題に核心が変わってしまったわけです。

そういう状況なのに「俺が一刻も早く謝りたい」「謝らせてください」とせっついた。
宮迫さんも亮さんももっと大きな視点で今回のことをとらえる視点が欲しかった。
いくらでも謝罪の機会はその先にあったろうと思います。
筋を通して、ロジックを整えて、会社も芸人も生き残るための会見を準備しなければならなかった。

それがわからないんですねえ・・・・・。

人間というのは本当にむつかしいなあ。
では、会社が用意したテーブルに宮迫さんが戻ったとして、芸人・宮迫さんの明日があるのだろうか?

今回の選挙で例えるなら、山本太郎さんのように、捨て身で気概、気骨を見せる世の中力があるのだろうか。
しかし、考え直せば、崖っぷちに立つ、いい機会を与えられたのです。
満杯の劇場に立つ機会を今回の騒動で作ったのです。
大勢の人が宮迫さんらの明日を観ている。

だから、ぜひ、次はあのような会見での姿ではなく、うわあ、すごいなあとうならせるような芸を見せてほしい。
会見の時の自分を吹き飛ばす、素晴らしい芸人として人として、満杯の観客席に登場してもらいたいものだと思います。








by yoshi-aki2006 | 2019-07-23 09:54 | 事象観察 | Comments(1)  

Commented at 2019-07-24 18:57 x
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