耳力

最初、その人には微妙におかしな印象を持ちました。
こちらを「どんな御用ですか?」と店頭でキャッチするや、パキパキと書類を出してきて、赤子に教えるように、「こちらに住所氏名をお書きいただき・・・」とボールペンのお尻でなぞって示す。親切、誠実そうに振舞っているようで、どっかエラソー。支配的。

「そんなん、見たらわかりますけど」と思わず言い返したくなったけれど、ぐっと押さえて黙っていました。

「で、印鑑証明をお持ちいただければいいんです」というので、「謄本でなく?」と念を押すと「はい、印鑑証明でいいんですっ!!」とえらい力説するので、「はあ、さよか」とワタシは言われたとおりバスに乗って法務局に行き、印鑑証明を取ってきた。

すると、別の窓口の人は「謄本もいるんです」というから、「おタクの社員さんが印鑑証明でいいっておっしゃったんですよ」と言うと、それは間違いだったという。

四の五の言っている時間がもったいないので、弾丸のように走り、また、バスに乗って、謄本を取って窓口に引き返すと30分待っても40分まってもワタシの番がやってこない。一時間半はロスしたなあ!

くだんの誤案内の女性に「アンタ、印鑑証明だけっていったけど謄本もいるんだよ。誤案内するとまた、バスに乗って金と時間をかけなきゃなんないでしょうが」と一応、言っておく。
すると「すみませ~ん」と一応いうけども、その後のほかの客への案内を観察していると、やっぱりどっか変なんですね。

なんだろう。親切に見えて、エラソー。支配的。微妙にどっかが病んでいる。

顧客がバタバタと何度も書類を用意するバタつきかたを見ていい気味というか。

こういう人が時々、店頭にまぎれている。
エステシャンとか、銀行の窓口案内とか。

その微妙な病みの源は戦後、繰り広げられた「消費させるための押し付けライフスタイル幻想」への幻覚からだとワタシは思う。

売り手は消費者の「ワタシが一番」「ワタシが主役」という部分を刺激して購買意欲を掻き立てモノを売る。
しかし、現金欲しさに働く現場では自分は「従」にまわらなければならない。
その不快さが「主役」として振舞う現場顧客への仕返しみたいな感情を生み出すのではないか。

「使えないなあ」という人間もいる。
頼んだことを勝手に自分で歪曲して、似て非なるものを持ってきたり、勝手な解釈で勝手なことをしてえばっている。どうして社会の枠組み、ルールを守らないんだと思うが、変にオレ様主義でそのくせ、リスクは取らない。学歴だけが高くて、使えないオレ様。

やることなすこと、社会のルールから逸脱している。

こういう人も戦後日本はたくさん作ってしまったんじやないか?

社会のルールや約束事を守った上で、クリエイティブなことを実現させる。
そういうあるべき姿に自分もどっかずれてんじゃないかと反省をしてみる。

耳力では「この人の言ってること変だな」と聞き分けられたんだから。

by yoshi-aki2006 | 2009-11-16 15:57 | アンテナ | Comments(0)  

<< フラット化する社会に職業人とし... 今週はイーウーマン円卓会議を担... >>