美人色
2006年 04月 06日
電車の中でぐだくだしゃべってる。
中身は不定愁訴みたいな内容だ。落ち込んだ、だからあんたに聞いてもらいたい。うまくいかなかった、ブルーな私を救ってよってか? 人のダメ話を聞かされる相手こそいい迷惑だろうな。
服地の糊が取れてないようで彼女が動くたびにカサコソと音がする。服も本人もまだ社会になじんでいない印象だ。
会社に勤めるということは今まで以上に社会性を求められる。会社のバッジをしたまま、不都合な行為をすると、会社の人、取引先などあちこちに迷惑が飛び火する。
そんな自覚がないから会社では仮面社員、携帯仲間としゃべる時だけホントの自分てなことになるのだろう。
もっとも、最近は「そんなこといったって、あのオジサンもこのオバサンも・・・」てな中高年も多くて、よい見本は少ないのだけど。
「こんな子が入社する会社は困るよな」と見ていたらその後ろにちょいといい女が・・・。
土色の肉厚木綿のコートに灰色のサブリナ風のパンツ。ローヒールの靴。渋い緑のラメ入りニット。首にはあっさりしたプレーンなチェーン。籐の柄がついた紫色の傘。一つ一つのディテールがお金のかかったよさげなモノでありながら、押さえた色形。主体が自分で服や小物に着られていない。
化粧はしているが口紅の色がアースカラーなせいか、精悍な感じでなかなかにカッコいい!
全体的に「私、ちゃんと仕事しまっせ」って感じの漂う女性である。何してる人だろう? マスコミっぽいな。
階段を上がっていくあの若い女性もいい! 体にフィットした明るい土砂色の地味なスーツが白い肌を引き立てている。きびきびした動作で、この人もかっちり仕事しそうな感じだ。
服のセンスや動作にそこはかとなく「その人」が現れて、ちやんと第三者に大事なことは伝わるものだ。
新人を迎える職場の人も多いと思うけど、地に足のついた女性は凛として美しい。
こびずおごらず堂々と。
そして、この時期、ちょっと押さえた色味のスーツが女性の美しさを引き立てるような気がする。
春は花と若葉の季節。しかし、明るい色を冴えさせているのは濡れた土や枝々の渋い色味との対比だから、ね。
by yoshi-aki2006 | 2006-04-06 00:08 | アンテナ | Comments(0)