TPPで黄金を抱いて飛ぶのはどこの国?~日本の今後を考える

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
(シンガポールの写真がぽつぽつとアップされるので「はて?」と思われたかもしれませんね♪
海外でのwi-Fi設定、タブレット版アプリ形式のブログ画面に不慣れで、なかなか詳しく書くことができませんでした。)。

さて。

ずーっと行ってみたかったシンガポール。時差は日本より一時間早く、ネガティブなことがあると日本のマーケットが開く前にシンガーポールの先物市場でいかようにもヘッジできることから、国際マネーは香港返還とともに
シンガポールに拠点を移したのでは?
と想像し、ぜひ一度、現地の様子を知りたかったのでした。「円高が終わる前に行っておかないと!」と思いきって出かけることにしました。

行ってみて良かったです。実にいろいろなヒントがありました!

まず、同国の広さですが、東京23区に相当。そんなに広くないので地下鉄、バス、タクシーであちこちに行くことができます。
移動は実にスムース。
特に地下鉄は非常にきれいでスイカのようなパスがあり、バスにも使用でき、帰国時には払い戻しできます。
職員の方が親切に教えてくれたので自動機械でまごつかずに買うことができました。レシートがほしい場合には日本のスイカと同様に有効画面が示されている間にボタンを押せば出てきます。

このパス、ガイドブックには2年が有効期間と書いてありましたが、それはたぶん残金のことかもしれません。帰る日にカードも返したいと英語で言ったつもりでしたが、「いや、5年持っていていいのだ」といわれて残金清算のあとカードを返されました。
5年以内に現地でチャージすれば使えるということでしょう。予定がない場合はシンガーポールにこれから行く人にあげてもいいかもしれません。

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このパスで、何度かバスや地下鉄に乗りました。社内はとても静か。携帯で話している人もいましたが気になる声量ではありませんでした。大きな声で話している人もみかけません。タブレットの画面に見入っているのは観光客も現地の人も同じ。

この国には518万人の人が住み、ほかはほとんど観光客です。観光客だらけなので、ある意味、楽です。

働く人々は公務員か金融街の会社員、サービス業、観光施設や街の清掃などの職種でルーツも多彩な印象です。イスラムの方も多く、地下鉄の要所要所にいて案内をしてくれるのは髪の毛を隠したイスラムの女性でした。

バスに乗って地元の人が住むマンション街にも行き付近を歩き、バス停で現地の人とお話したりしましたが、ルーツはインドだったり、中国だったり、マレーシアだったりと多彩です。

大統領官邸もこじんまりした印象で、議会議席数は80強、内政はきわめて安定(外務省)。意思決定もきっとすばやくスムースなんだろうなあと想像します。

さて、金融関連企業が集まるシテイ、新たな観光資源としてさまざまな施設やタワーマンションなどが開発盛んなベイフロント、ラッフルズ、ホラトンなどの重厚な建物の周辺、日本の原宿のようなオーチャーロード、その一角の御徒町のようなショッピングビル、リゾートとして人気のセントーサをまわったたった数日間での印象ですが、
世界のみなさん、どんどんシンガポールに来て、どんどんお金を使ってくださいね、そのためにほら、私たちはこんなに設備を充実させてお待ちしています、という意欲まんまんな国だと感じました。

観光にかけるエネルギーには並々ならぬものがあり、特にベイ・フロントに2010年にオープンしたマリナ・ベイ・サンズは屋上にプールを作るというびっくりな建物。

それがマーライオンを背景にどこからでも絵葉書のような写真が撮れるようにしてあるんですね。
世界から集まった観光客はあまりに絵になる場所に大興奮して写真を撮りまくります。

来たよ~と感動できる場所がちゃんと作られてある。誰が撮ってもあまりにも決まるスポットがある。あまりに絵になる風景。
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この「わ~!」という感動はセントーサの水族館にもありました。
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詳しくはこれから行かれる方のお楽しみとして置きたいと思いますが、いろいろなプロセスをへて、この水槽に行き着いた時にはあまりの素晴らしさに涙してしまいました。たぶん、芝居をなさる方、そうそう、昨年、見送ることになってしまった18世中村勘三郎さんのような方なら、ここの施設の仕組みに涙した意味を分かってくださるだろうと思います。この施設に来なければシンガポールを理解しないで帰ったかもしれません。セントーサに行ったらぜひ、ワンデイチケットでこの水族館を訪ねてください。ちなみにここでは価格は全般的に非常にリーズナブルでした。

さて、全般的に感じた日本との違いですが、自動販売機で水分の補給ができにくい点があるかなと思います。金融街ではセブンイレブンがあり、リーズナブルな価格で飲料も買えますが、日本ならどこででも飲料が買えるのに、この国の特に観光スポットでは見つけることができませんでした。
自動販売機の飲料缶と集金のシステムが確立できていないか、あえてしないのか、わかりませんが暑いさなか飲み物を口にしたいのに自販機がないというのは結構こたえます。
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ベイフロントにしつらえられた公園にはタワー同士行き来できるスカイウオ―クが設営されています。暑いさなかここまでたどり着くのにへろへろになりますが、自販機での飲料がないので、売り場のある場所まで行かなくてはなりません。
壮大な観光スポットの連打状態なだけに飲み物提供システムがショップだけというのは今後の課題かなと思いました。


ちなみにスーパーマーケットでもセブンイレブンでも日本のメーカーは頑張っていて特に明治のシエアは高かったですよ。

さて、宿は屋上にプールを作るわ、24時間カジノはあるわ、世界のブランドをいやというほど集めたショッピングモールも設営したという話題満載マリナベイサンズに。
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どんだけあるのというくらいのブランドショップがこのモールに。
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モール内に川が作られてあり、こんな大きな水のモニュメントも。
ちなみに川にはベニスよろしく船を繰り出すこともできるんですね。
私は日本のアウトレットに余りでかけないので日本にもこういう施設があるのかもしれませんが、ちょっとびっくりしました。

このモールの海側にマリナベイサンズがあり、また、ここはここで建物の構造に「どうにかして驚かせたい。わあ、すごいと思わせたい」という意欲まんまん。
実際に泊まってみて、とにかく世界の観光客の度肝を抜こうとする意欲が実にすごいと思いました。

室内設備は日本も十分競争力があると感じましたが、ベイフロント開発もふくめて、スケールの壮大さにはプロデュース能力、あるいは発想力の差を感じずには居られませんでした。そこには官民あげてという国の意思決定のかかわり方、ひいては速さの違いもあるのかなと思います。

観光スポットとして目立つので、「どれどれ、どんなもんだろう?」と世界から観光客が興味津津で集まってきます。特にラグジュアリー志向の観光客はサンズに泊まろうとやってくる。その仕組みつくりに成功していますね。
価格面ではレストランにせよ、プールでの写真撮影にせよ、超強気の設定。
「ほんまあんたらなんなん? えー商売してるなー」とぶつぶつ言っている日本人もいて、気持ちはちょっとわかるなあ、という気がしました。
でも、高いからこそ泊まりたいという客も世の中にはいて、そうしたお客さんには強みを発揮します。そして、金持ちにどんどんお金を使ってもらえたら税収が増え、国は豊かになるのだから官民あげて、仕組みつくりに力が入るというわけでしょう。

どんな方たちが泊まるのかぜひ、観察したかったのですがサンズの狙いは十分当たっていると感じました。

ちなみに、サンズには3連泊し、十分おなかいっぱいになりましたので二回目は金融街に近い重厚なホラトンか観光スポットに近いマンダリンオリエンタルにするかもしれません。ホラトンは昔なら最高の立地だったでしょうし、駐車場にはそれはそれはすごい車がたくさん停車していました(金融街の人たちの会合やランチで集まっていたのでしょうか?)。日本のオークラみたいなもんなのかなあと感じました。

次にサンズが誇るカジノ見学。
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カジノは撮影禁止なので入口のさらに手前でカメラはoffに。
ホールはどこからやってくるのかいろんな人でこの日は満杯。
館内を一周し、まずは見学。
ナンバーズのようなシステムを人が仕切っている台があり、何事も体験た゜とやってみるとあっという間に元金が50%増えました。が、3つのサイコロの数を当てるだけという仕組みにすぐに飽きてしまいます。
立っているのも疲れるし、さっさと換金して元金を回収し、座れるルーレット台に行くことにしました。

そこで「えっ?」と目が覚めます。
ものすごい速度と額でお金(チップ)が行き来していました。テーブルではどれだけのお金が掛けられているのか(100万円?もっと???)、「こんな台ではとてもできない」というほどの大フィーバー。
熱いお客はインド人? アラブ人? の高齢の男性たち。互いが互いの賭けに興奮し、完全にトランス状態。大勝と大負けでわけがわかんなくなっちゃったんでしょうか。台は仕手株の連日ストップ高みたいな感じです。

別の台に行き、球の行方を「11」と感じたので見ていると球がパシッと11に来たので、あらら、私も回線オン。その気になって、小さく掛け始めると、すぐに若い韓国人風の男性がやってきて1000シンガポール札(約7万円)を台の上に出しチップを買い求めました。それを一回のルーレットに掛け、あっけなくすべてなくすと、また、ぽんと1000シンガポールドルを出す。
「あー、こうして例の紙屋の息子さんは億の金をすったんだなー」と思い出し、逆に冷静になり、さっと台から離れることに。

ルーレットでは小さく掛ける人に勝算はありません。小金をかける人は大金をかける人にあおられないことが大切です。
そういうことをマーケットから学んだし、熱くならずに引ける年齢にもなったんだなというのが私の今回のカジノ体験のオチです。

さて、今回の旅のもうひとつの目的。シンガポールはTPP参加の意向。世界の観光客を呼び込んで成長しようとの意気込みを持つ同国。輸入で多くの商品がまかなわれている同国にとってTPPは国の成長路線にはプラスとなると思います。

日本は観光立国を目指すのか?
製造立国を目指すのか?
すくなくとも2010年に14%の成長を見せたシンガポールは存在感ありますよ。
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まだまだ進む開発工事。

まだ始まったばかりの安倍晋三内閣。
私たちもしっかり応援すべきところは応援しながら、一人ひとりが今後の日本を考えたいものだと思いました。

さて、表題の「黄金を抱いて飛ぶ」の意味。
聖書の言葉だそうで、JALのメニューで井筒和幸 監督作品の映画タイトルでみました。
高村薫さんの小説を映画化したものでそれはそれは面白く拝見し、行きと帰りで二回も見てしまいました。

中身についてはお楽しみとして、

タイトルの意味を深く考えると、そもそも黄金は重くて抱いて飛ぶことはできません。
平たく言えば「欲望が身を滅ぼす」ということになり、それが聖書の言葉というのも感慨深いものがありますが、シンガポールに行き、日本の今後を考え、呟いてみたくなった言葉とかぶります。

黄金を抱いて今後飛ぶのはどの国なのか?

中国の龍は手に宝玉を抱いて飛んでいますが、その中国の今後も気になるところです。

ちなみにシンガポールは虎の都という意味だそうです。
吠えたら怖い・・・、日本のライバルとなる要素もたっぷり持っているのではないかしら、と感じました。
また、写真を整理してご参考になるものをアップしていきますね。

欲を持つ人より夢に向かって歩く人になれ。
これを今年の座右銘にしたいと思います。

というわけで今年もよろしくお願いいたします!

by yoshi-aki2006 | 2013-01-05 17:47 | アンテナ | Comments(2)  

Commented by hikosaka at 2013-01-06 00:16 x
現在のシンガポール報告有難うございました。15年前のシンガポールは表通り、裏通りの差が大でした(禁煙の国のなのに)
金融の先進国として見習う点が有りそうですね。リー・カンユーさんは日本を目標にと聞きますが、、、台湾、韓国、に追いつかれ?日本も「おごる」ことなく頑張らなければと痛感しました。
Commented by yoshi-aki2006 at 2013-01-06 10:39
あけましておめでとうございます!
お日様が出ると暑すぎるのが難点でしょうか?
かといって日本のような寒さも難しいもんですよね。

四国や九州を観光立国化のフロントにして、都市部は大阪、名古屋、東京とし、地域社会は地域社会として日本のバックグラウンドとしてしっかり生活者重視とするようなイメージはどうだろうかとか、いろいろ考えさせられました。
返ってきたら、相場がいい感じ。

この調子だと14000円もあり得るかもしれませんね。
初夢に終わらないようにしっかりと観察したいものです。

今年もよろしくお願いいたします。

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