インストール人間考

これから夏至に向かうのに、冬至近くの話で恐縮だがクリスマスツリーの話。
今はキリスト教でもないのにクリスマスが近くなると、家に電飾のツリーを飾り、聖夜を祈る人は多いが、この習慣を広めたのはクリスマスツリーを飾った居間でくつろぐイギリス王室の人たちの報道写真だった。

その写真を新聞で見た人々はなんて素敵なんだろうと思った。
格調の高い調度品に囲まれた部屋で品よく微笑む幸せそうな王室の人々。
その部屋の中に飾られた我が家にはないもの。しかし、手を伸ばせば届きそうなもの。
それがクリスマスツリーだった。
その写真が掲載されたあと、自分の家にもクリスマスツリーを飾ろうとする人がワッと増えたのだという。

身分の高い人、自分が価値を認める人が愛用しているものを自分も身につけたい。
真似したい。これは万国共通の思いで誰にもこういう傾向はある。

しかし、まるっきりその人そっくりにコピーするのはルール違反だ。

私の属するマネー業界を例に取ろう。まず、フリーランサーの人たちの肩書きだが、株式評論家とか経済評論家、経済ジャーナリスト、トレーダー、ファイナンシャル・アドバイザーなどは全て「自称」であり、名乗っている人は自分でその肩書きを選んでいる。
マスコミが勝手にその人の肩書きを書き換えたりすることは通常はありえない。
どんな小さな記事であっても肩書きは本人がゲラの時点でチェックする。
プロフィールも同様だ。

「話題の」とか「××屋として有名な」とあっても全て自称。
証明する記事なりデータを持たないまま、ムードを演出することも可能である。
一人が読者受けや印象のよい肩書きを使用し始めると、ちゃっかりとその人の弟子でもないのに肩書きコピー人間が登場する。前述のクリスマスツリー現象が起こるわけだ。

プロフィールもいつの間にか誰かの記述とそっくりだ。
えっ? この人この間までアナウンサーじゃなかったの?
あれ? この人は編集者だったんだよね? この人は芸能界の人じゃなかったっけ?

それがいきなり、ファイナンシャル・アドバイザーやFP、アナリスト、霊能者、大学教授、気鋭の金融ジャーナリストなどに肩書きを変えている。それにしても自分で「気鋭の」なんて、よく言うよな。

まあ、誰が何を名乗っても肩書きに中身が伴えば、読者の利益につながり、社会的に有益なことだろう。

しかし、ディスクは空っぽ。中身はどっかからインストールしてきましょう式の人の横行には苦言を呈したい。
私が理解に苦しむのは例えばキャリア・アドバイザーなどの肩書きを名乗り、中身の伴わない人が資格を取ったら文句はないでしょうとばかりにいきなり先生デビューする点だ。
アドバイザーと名乗る以上、その人のアドバイスに信頼性がもてなくてはならない。
その人自身がズルをせず営業ナンバーワンの実績を持つなど、何か確実に積み上げてきたモノがなければ説得力もない。
中身が空疎なままでは恐れ多くも人の前で「先生」業はできない。
ところが、この手のインストール人間はそういうことにはまったくお構いなしだ。世界的な営業成績を誇る女性が「好まれる営業トーク」みたいなベストセラーを出すや早速、「好かれる話し方」をテーマに講義を引き受けたりする。

肩書き、プロフィール、髪型、服装、ホームページ、仕事内容など、気になる人からインストール。お手軽に素敵なあの人から自分の空っぽディスクにインストール。そういうことに良心の呵責やノットフェアーなことをしている恥ずかしさって感じないんだろうか?

服の色やまったく同じアクセサリーを付けられる程度のストークならまだしも、オリジナルな部分をストークされると気分のよいものではない。

そういえば社名をもじって「まねした」といわれていた会社があった。売れてるサプリメントは何でも作って先行企業のシェアを取ろうとする非公開企業もある。「まねした」産業の末路は現在の低迷で明らかだし、サプリ会社の社長も非常識言動で顰蹙を買った時期がある。

私はオリジナルで勝負している会社や人を応援したい。人のおいしいところだけいただきみたいな調子のよい会社や人は好きになれない。ましてや、筋を通した挨拶もなく「まねっ子」に徹している人を応援することは一生涯ない。

by yoshi-aki2006 | 2006-04-22 18:18 | 人間考察 | Comments(5)  

Commented by hikosaka at 2006-04-23 10:21 x
昨日、OB会に参加してきました。帰宅時、JR名古屋駅で皇太子殿下帰京時と重なり警備で混雑していました。殿下は公人として大変だと思いました。先生はどうですか?企業には色々あります?「M電気」の別名真似した電気NOI今赤字の「S電気」どの業会もゾロ商品が多い、2番手商売はずるいと思う、しかしベンチャーは維持開発しなければならないね。やはり大手になれば大手病(フランス病)に苦しむ、やはり経営者も重要だと思う世襲も能力があれば、、、、殿下の訪問された会社は「ノリタケ」でした。
Commented by yoshi-aki2006 at 2006-04-23 12:14
HIKO様
ご無沙汰です。いつも面白いコメントをいただきありがとうございます。殿下はなにゆえ、ノリタケにお出ましになったのでございましょう????
7月15日名古屋イベント決まりましたので、またご報告いたします。
私も名古屋をもっともっと研究したいです。
また、お越しをお待ちしております!!
木村佳子
Commented by santarou at 2006-04-23 16:54 x
えぇ~!じゃぁ、Mr.ストップ高の****さんっていうのも自己申告なんですか!?
「誰がこんな恥ずかしい(失礼)肩書き考えるんだろう。本人どう思っているんだろう」とか思ってたのに。まさか本人がみずから名乗っていたとは。
Commented by yoshi-aki2006 at 2006-04-23 21:00
そうそう。ゲラチェックって必ずあるからね。びっくりでしょ。カリスマなんとかってのも自称であると思っていいです。私にもカリスマ講師という文言がついたことがありましたが、あまりにも恥ずかしくて削除しました。編集部のほうで作ってくれることもあるけど、それを使うかどうかは本人の裁量なんです。自称の世界はキャッチコピーを作るのがうまい人と謙虚な人に分かれるから、読者はちゃんと見抜いて欲しいんだよね。後続の人のためにも。
Commented by yoshi-aki2006 at 2006-04-23 22:40
追伸です。
自分で「××の星」(四捨五入すると50歳の女性FP)とか、「××市場のカリスマ」(こっちは男性)とかいっている人もいます。どあつかましい、としか言いようがないと思います。

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