よいFPの見分け方

FP。
ファイナンシャル・プランナーの略称として今ではすっかり定着した感がありますから、ご存じの方も多いだろうと思います。

私も株式投資やビジネス、お金がらみの原稿を書き始めたとき、専門知識を得たいと思って、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定校で勉強し、AFP、CFPの資格を取り、その後、国家資格の一級FP技能士も取得しました。先に経験知があり、仕事をし、後から勉強という順番でしたが
資格取得とそれに伴う勉強は、とても良かったと思っています。

FP知識の研鑽のために6分野からアプローチし、偏らない視点からお金について考え、その方法で改めて運用してみることで、それまで強く意識しなかった分野についての理解が進みました。

さて、このFP資格を取った後、どう活用していくかは、それぞれのライフプランによります。

有資格者となった人の展開を分けると

●企業や組織の中でその資格を生かしたポジションにつく人
●フリーランサーとしてやっていく人
●FP系の講師になる人
●FP系ビジネスを起業する人
●特にFPでビジネスはしないけれど資格を自分のその後の生活に生かす人

ということになろうかと思います。

フリーランサーとしてやっていく人の中にはもともとは税理士や社会保険労務士などの「士業」で仕事されていて、FPの資格も取る方とアナウンサーなどの仕事をされていく中で、お金がらみの知識を身に着け、ファイナンシャル系の仕事をよりたくさん受注したいという希望を持つ方もいらっしゃいます。


さて、よいFPの見分け方についてですが、
いくつかポイントがあると思います。

美容系クリニックの例を挙げるとわかりやすいのではないでしょうか。
大量宣伝、人海戦術の美容系クリニックをネットでご覧になったことがあると思いますが、
やはり「大量宣伝」「人海戦術」にはそれなりの特徴があります。

大量宣伝には費用がかかりますから、その費用を賄うための仕組みが必ずあるわけです。
院長としてやっていくにはまず、有名にならなければ顧客も獲得できないということで、
本を出す手法はよくある例ですね。
技術力のある先生ならそれで救われる顧客もいるわけですから、「私はこういう医師です」と名乗りを挙げるのはいいことだと思いますが、逆のケースには注意したいですね。
技術もないのに名前を売るための著作で顧客を獲得した後、どういうことになるのか。
顧客が「ああ、しまった!」と気がついた時には手遅れ、というケースもあるので見極めたいものです。

無理な資金繰りをして、成長したはいいけど、ほどなくつぶれてしまうこともあります。
審美歯科系の例では、あり得ない施術をして、顧客の歯に不具合が出て、再度訪れると、病院は倒産し、院長は自己破産していたということが少なくないそうです。

「量」をこなす仕事、急成長しようと急いでいるケースはどうしても仕事が雑になる面があるのは否めないでしょう。
ちゃんと施術してもらえるのかどうか。継続して施術してもらえるのか?

大量出店ともなると若手に現場責任者を任せる展開になることが多いと思いますが、
若くてフレッシュな反面、経験が伴わないという面もあるかもしれません。

大量出店していたある美容系クリニックでは、支店院長がまだ若い女性顧客の間違った部位へのヒアルロン酸注入で顔面壊死という「学会報告レベル」といわれる深刻な事故を発生させてしまい、週刊誌でも取り上げられていましたね。

技術力が伴わない医師が現場にいて、顧客に取り返しのつかないことをしてしまったわけで、現場担当者の技術力や専門性はきちんと検証したいものです。

今まで内科だったのに、美容系クリニックが儲かるから、という理由で現場を担当し、ムチャクチャな施術をして、訴訟沙汰になるケースも見受けられます。

専門が何か?
どんな論文をどんな学会で発表しているか?
どんな権威のある学会で活動しているか?
医師ならそういう審査基準で検証してみることができるかと思います。

急成長を遂げる企業には何らかの蹉跌はつきもので、身の丈に合わない無理な事業拡大によって顧客や従業員にしわ寄せが出ることがあるので、気を付けなければなりません。

では、FPの分野ではどうなのか?
美容系クリニックの見分け方と似たところがあるといえますし、株の銘柄選択と同じような面もあります。

個人相談でFPを利用する場合や、本や講演で意見を参考にするケース、仕事で何らかの接点を持つ場合、そのFPやFP事務所の評判を人に聞き合わせ、客観的な判断をしたいですね。

自分が求めている分野に強い人と出会うためには
税理士、弁護士でも企業系の先生と個人系の先生がいらっしゃるように、
専門は何か?特徴や個性を知ることも大切でしょう。

専門分野に強いFPは研究者として立派な人が何人かいらっしゃいます。その研究ぶりには本当に感心しますし、「先生」と呼ぶにふさわしく、心から尊敬を覚えます。

でも、大急ぎでFPという肩書を武器にビジネスしようとする人の中には、キチンと研究している人の雑誌での寄稿記事やコメントやブログ、単行本などから必要な部分をばばばーっとコピペして、その人が受注している原稿に使ったり、大量に本を出すようなケースが見受けられます。講演会に忍び込んで講演を聞いたり、講師として事務所に招き、そのレジュメを見て、似たレジュメで同じような講演する人もいるようです。

そういう人の話はかねがね噂には聞いていましたが、私もやられました。
一例ですが、以前、冊子販売されていた雑誌あるじゃんに「株で損をしたとしても、おけいこ事でもワンレッスン3300円くらいかかるのだから、3万円くらいの損ならマネーレッスンに10回通ったと思えばいい」
と寄稿したら、その話をそっくりそのまま、まるで自分のコメントのように使って商売しているFPがいました。

最近もこのブログでNISAの注意点を記述したら、そのFPのNISAコラムに唐突に「NISAの注意点」として私が記述したことを自分の意見のように記述しているという具合です。事務所経営でいっぱいいっぱいな上に、たくさん連載を持って調べたりする時間がなく、やっつけ仕事的に書いているんだろうかなと思います。自転車操業的に原稿執筆をしている人は締め切りにせっぱつまって他者の記述を流用してしまう誘惑があることに注意しなければなりません。

流用された人はその時は気がつかなくても読者や他のFPの皆さんが「これって××さんが書かれていたことですよね」と資料やURLなどで本人に知らせるものです。
どうして出典を明らかにしないのか?
相手の領域を奪おうという腹黒さがあるから、正々堂々とクレジットを入れられないのです。
だから、眼中にない人や仕事を発注してもらえるかもしれない企業FPのクレジットはどんどん入れ、恩義や媚を売り、自分が狙っている領域の人のクレジットは入れられないのです。

自分の経験や意見がないのに、急いで「FP先生」として人に話したり書いたりして、お金儲けと名前を売ることを先行させているから、人のテキストを奪ってその場しのぎをするしかないのでしょう。とても残念な例ですね。

若気の至りならかわいげがありますが、編集の経験があったり出版にかかわっていた経験があるなら、救いようがありませんね。

そういう癖のある人ほど、空とぼけるもので、そんなつもりはなかったと居直る例も少なくありません。無意識でしているなら病的ですね。

そういう人はともかく売れたいので他の人がものすごく考えて作ったコピーをすぐ真似して使う。
売れている人のビジネスモデルや会社名に似せてビジネスを展開する。
有名人と食事し、それをブログに掲載し、有名人効果を狙って自分を押し上げる。
人の活躍している分野を自分が占有しなければ気が済まない。

そんなことでFPビジネスを拡大していく人もいます。
当然ながら、やられた人はずっと腹を立てて忘れることはありませんから、そういう人の業界での評判はけしてよくありません。

評判のよくないFPの例では一分一秒を争って本を出すために、契約スタッフに締め切りを決めてハッパをかけたり、あちこちからテキストをかき集めるそうです。
人のテキストのコピペなら短期間に40冊、50冊も本が出せるわけですね。

あちこちからかき集めたテキストはその人が研究して導いた結論ではないために、顧客に迷惑がかかる可能性が高い嘘がある。
例としてFXは4倍のレバなら安全だとか、
株のPBRは成長性の指標だとか、
びっくりな記述があちこちにあるという具合です。

でも、40冊も50冊も本を出せれば一応はその業界では「大先生」だし、立派な著名人です。
読者は「学費はいくらかかる」などFPの使う資料は探せば、この図表は××先生が××からと断って使用されたもの、とわかるので、大元先生と引用先生は気を付けていればわかります。

どういうFPが信頼できるのか?

お金であれ、知識であれ、
人のものを無断で借りて金儲けや自分のカッコつけに使うようではルール違反で、そもそも信頼性、人間性の基盤が成り立っていませんし、「先生」と呼ばれる人がしてはならないことだと思います。
テキストを見る人が見たら、文脈から一発でわかるもの。

ちなみに私が通った大学院では2校とも「コピペは論文であれ、課題であれ、絶対に認められないし、してはならない」とどの教授も異口同音に断言されていました。商品ともなればなおさらでしょう。

それにFPは子供にお金の話を教えることもあります。
人の研究したものを適当に見繕って、体裁を整え、話したり、書いたりを子供にしてはならないと思います。
それはとても恥ずかしいことですし、人のモノを親や大人が奪う姿を子供に見せるのは罪ですらあります。
そういうことを平気でしてしまえる感性の持ち主のところに個別相談に行けば、個別相談の内容そのものもプライバシーポリシーもなくいつの間にかテキスト化されてそのFPのお金儲けの元に使われてしまうかもしれません。

医療系クリニックでもセカンドピニオン制度が普及したように、検証性を高めながら、
いいFP、嘘のないFP、誠実な人と出会いたいですね。

by yoshi-aki2006 | 2014-03-03 10:06 | アンテナ | Comments(6)  

Commented by FP修業 at 2014-03-04 10:23 x
よくぞ書いてくださいました!
スッキリ!!

みんな同じようなことを感じているんです。
ビックバンブーは下流FP喰いでもあるんですよ。

資金繰りに困っている後見人でもいて、人が上場でもそそのかしているのかも、と想像したり。



Commented by yoshi-aki2006 at 2014-03-04 23:53
よいFPと言われるよう、研鑽に努めましょう!
Commented by 発展途上 at 2014-03-05 07:34 x
失礼します。いろいろ考えさせられ何度も読み返しました。ありがとうございます。
思い当たる人がいます。編集者だったという人で大量に本を出しているFPさん・・・・・・。あの人では????

NISA記事は多分、ウェブで見られる記事だと思いますが、私もどこかで読んだなあーーーコレ、と感じました。そういうことだったんですね。
木村先生と竹川先生の両方からパクッていると思います。ネットで検索すると神戸先生からもずいぶんパクッていますね。

下流FP食いとはうまいこといいますね。そういう人に仕事をぶら下げ一杯書かせた挙句、自分の名前で本を出すわけですか・・・・。かわいそうですね。
知り合いがその会社で契約で仕事していますが、2フロアも借りて忙しいと言っていました。
私もいろいろ気をつけます。ありがとうございました。失礼します。
Commented by yoshi-aki2006 at 2014-03-05 09:53
 コメントありがとうございます!

 たくさんアクセスをいただき、FPとしての在り方を今一度、考え直すきっかけになればと思います。
 
 
Commented by CFP at 2014-03-08 02:16 x
ご報告

パクリ屋さんのネタ本は藤川太さんの著作物や原稿も多いと思います。
Commented by yoshi-aki2006 at 2014-03-10 12:57
FPとしてこれからも勉強する方へ

 未消化の知識で人前に出れば、結局、質問されたときなどにちゃんと答えられず、冷や汗、赤恥、批判という審判を受けて自分が苦しむことになるので、お互いにそんなことにならないようにしっかり、研鑽していきましょうね。

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