なぜゴミ屋敷になってしまうのか?~人のモノに対する同情心が捨てられない気持ちを醸成する

最近、ゴミ屋敷に強制代執行がかけられるケースが増えてきました。
ゴミをため込む住人に周囲の人たちは日々、
「火災になったら怖いなー」
「においがきつくて窓を開けられない・・・」
「カラスや小動物が餌を求めてやってきて、ごみが散乱し、通りの景観が損なわれている」
と困っておられます。

周囲の住人は生活の質的低下を嘆き、何とかしてほしいとゴミ屋敷の住人に思うわけですが、話し合いは平行線に終わることが多いようですね。

苦情、陳情が蓄積してついに強制代執行となるわけですが、
ゴミ屋敷住人はまるで宝物を取られるように抵抗されるケースが少なくありません。

モノを捨てる、捨てないに関して、
周囲の人にはゴミにしか見えないものが
ご本人には宝物、財産に思えている。

世にはかたずけ本が出版され、
「ときめかないものは捨てましょう」とこんまりさんもおっしゃっているわけですが、ゴミを捨てられない人はまさにゴミにときめいているわけですから、改善はむつかしいというわけです。

さて、かくいう私も実はなかなかモノが捨てられないタイプです。
まず印刷物です。
家族からは、「こんな雑誌とか新聞とかもういらないでしょう!?」と叱られるのですが、なかなか処分ができません。
国会図書館に行けばたいていの印刷物は手に入るのだから、と頭ではわかっていてもなかなかむつかしいのです。

ところが最近読んだ脳科学者の本にハッとする文章を見つけました。
「モノを捨てられないのはモノに同情する心からだ」というもの。

まさに私の心に一番フィットする名言に思えます。
そうなのです。捨てられないのはモノに対する同情心からです。
例えば、印刷物以外ではお菓子を納めていた箱もなかなか捨てられないのですが、それは「たった一回のお菓子の箱役で捨てられるのは気の毒だなー」と思うからです。紙箱製造に携わった人たちや、板紙に生まれるまでの工程にまで思いは及びます。

そんなこんなしてこんなきれいな箱になり、たった一回のお役目で捨てられるのはまことに不憫。まことに哀れ・・・。と、そう思うから、なかなか捨てられないのです。

このモノに対する同情心というキーワードで縁者を観察してみると、
お姑さんがまさに私とよく似ています。
お姑さんは、きれいな包み紙があると、
「ポチ袋に作り替えて、お月謝を持っていくときなどに使うのよ」といいます。
かぼちゃの皮でも
「皮には皮の味わいがありますよね」と捨てずに工夫して食べています。
捨ててしまえばそれっきりです。そんなのもったいないじゃないですか。それがお姑さんの考え方です。

ところが実家の母は自分と関係性のなくなったモノはバンバン捨て去ります。私が学生時代に描いた油絵なども私が同居しなくなると私に無断で捨ててしまう。
父が亡くなるとその背広類をさっさと処分する。
私はこの行為にひたすら驚きます。
「お父さんの背広を捨ててしまっていいの?」と聞いても、
「置いておいてどうするの? あっても仕方がない」と返されて、確かにそれはそうだけど、なんて情緒のないことかしら、と割り切れない思いがしてなりません。

お姑さんは皆が集うと自分が皆にごちそうをふるまうことに迷いなく集中するのに対し、
実家の母は家族の誰かが手配したごちそうをうまうまと食べているという具合です。

私は圧倒的にお姑さんのほうにシンパシーを感じます。

今でも捨てるべきではなかった品々を思い出します。

実家母方は古い家なので、いろいろなものがありました。
ところが戦火に焼かれたり、戦争が終わった後でももらい火で焼失したり、台風に見舞われたり、で花押のおしるしのあるお手紙や名品、貴重な品を失いました。
それでも私が子供のころには
見事な彫刻が施された本珊瑚でできた掛け軸の風鎮やお琴、ちりめんのお琴や鏡台かけなどが家の中にありました。

しかし、その後の高度成長期に母は近代化を推進し、お琴も風鎮もいつの間にか家の中からなくなりました。

私がもっとしっかりしていれば、お琴も風鎮も捨てさせなかったのになーと悔やまれてなりません。

が、いつまでもモノに同情し、捨てない生活では狭い我が家は足の踏み場がなくなります。
新品でも「間違って買ってしまった」たぐいのものは売ったりあげたりしてすぐ手放せるのですが、
「これ、いつか使えそうなものなのに捨て去られるの?」と思わず取っておくたぐいのものはなかなか捨てられません。

捨てられるものに対する「同情」にたいする消化剤を求めて、
気持ちを切り替えたいですね。

まだ使えるものを捨て去るのは忍びない同情心。美しい心働きに思えますが、散らからず、心痛まない「捨てられる生活」へのロジックを見つけたいものです。

by yoshi-aki2006 | 2016-03-28 19:44 | 日々雑感 | Comments(0)  

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