挑戦か完成度か 五輪メダルと選手たち 羽生結弦選手、高梨沙羅選手、浅田真央さん、

北京五輪のフィギア競技。羽生結弦さんの4回転半への挑戦を見ていて、しみじみ考えてしまいました。
前人未踏の大技に挑戦する姿をヨシとするか、演技の完成度で得点してメダルを取るのがいいのか。

その後の記者会見で羽生選手は「努力は報われないんだな、と思いました。やれることはすべてやりました」と失意の表情で語りました。放心しているようにも見えました。
ショートの演技をする前から顔の表情はずっと暗く、「ああ、相当疲れているんだな。浮かない顔だな・・・・」と思っていましたが、挑んで結果が伴わなかった上に本人がこのような辛そうな状態で記者会見に臨まなくてはならない状態に「フランダースの犬」を読み終わった時のようななんともいえない気持ちになりました。

なぜ、彼は4回転半を飛ばなくてはならないのか。
ショートでミスしたからフリーで4回転半を飛んで挽回する必要があったのでしょうか。

もし、ショートがうまくいっていたら、フリーで4.5回転を失敗していてもメダルは取れたのでしょうか。
それともショートがうまくいってもいかなかっても4.5回転をどうしても五輪で飛ばなくては彼の五輪は終わらなかったのでしょうか。

後の報道でスケートの恩師から「君は飛びなさいよ」といわれていたことが大きな動機になっていたことが明かされました。
もちろん、恩師は「君ならできるから」という意味で「飛びなさいよ」とおっしゃったのでしょう。

真面目な彼は飛ぶこと、挑むことに埋没していきます。こうしたすべてが羽生結弦さんたらしめているのだろうとは思いますが、その道しかなかったのかなと思います。観客や視聴者も一緒に楽しめるプログラムにできなかったのでしょうか。羽生さん自身、もっと五輪やスケートを楽しんでほしかった。

見ている方が辛い競技でメダルを取れないよりも、みんなで競技を楽しんで結果につなげた方がよかったのになと思います。
一位のネイサン・チエンさんも銀メダルの鍵山君も銅メダルの宇野さんもみんな楽しそうに競技していた。
羽生結弦選手のような暗い顔はしていなかった。

かつての浅田真央さんと同じようなことになっている、と感じました。
あなただからできる。
日本のエースだ、みたいな重圧。
守らず、攻めよの圧。守るのは卑怯みたいな空気。
それで結局、つぶされてしまう。
攻めて失敗したダメージが本人にのしかかるのに。

もっとスケートを楽しんでいる姿を見せてほしい。
すごい技を見せるのではなく、完成度の高い演技で人を魅了することが大切です。

挑んでできずに苦しむ姿でメダルを取れないのと、
楽しい演技で魅了してメダルを取るのと、どちらがいいのか。

観衆はどちらを望むのか。
そんなことを考えました。

ところで高梨沙羅選手も不運に泣いた選手ですね。
スーツが2センチ大きいだけで失格。
「化粧に熱中している時間があるならジャンプを研究しろ」みたいな批判があったとか。

私は高梨沙羅選手ほどあちこちに顔出しし、写真も撮られる機会が多い人がなぜ、あそこまで顔をガラッと変えてしまえるのか、その感性が不思議でなりませんでしたが、今回の成績不振での号泣と謝罪でちょっと彼女の考えがわかったような気がします。

「メダルを取れなくてごめんなさい。本当にすみません」と謝り続けた高梨沙羅選手。
懸命に飛んで結果を出すべきとする「圧」からは「顔ばかりいじっているから散漫になって結果が出せないんだ」というロジックが突き付けられる。
私もちょっとそう思わないでもありませんでした。
卓球の福原愛さんが競技しているときも感じましたが、「ああ、この選手はほかに気になることがあるんだなあ」ということは画面を通して伝わってくるものです。

でも、今回、彼女がメダルを逃して謝罪している姿を見て、
「ああ、この人は表彰されたり、オメガや資生堂などのアンバサダにえらばれたときも、こんな外見でごめんなさい。こんな容姿でごめんなさい」ときっと心の中でわびていたんだろうな」と思いました。

彼女の中では表彰台に立つにふさわしい美貌やオメガや資生堂のアンバサダにえらばれるからには元顔では申し訳ない、という気持ちが強いんだろうと思いました。
「こんな私でごめんなさい」
「メダルが取れずにごめんなさい」

化粧品会社のアンバサダになったからには、こんな容姿では申し訳ない。
だから顔をいじって「ふさわしい自分であろうとする」。
そんなふうに思ってしまうのはやはり強いプレッシャーがあるからだろうと思います。

トップに立ち、キープし続けなければならないという使命感に燃えて、やりすぎてしまう人たち。
ありのままでいいんだよ。
楽しい原点を忘れずにいてほしい。
そしていつでも梯子から降りていいんだよ、と言ってあげたいですね。
このままいくと羽生結弦さんは降りてこられずに苦しむと思う。
高梨沙羅さんもどこかでブレーキをかけないとやりすぎてしまい、マイケル・ジャクソンやバニラさん、叶姉妹のように特筆すべき世界の住人になってしまう。

どこかで素朴な自分を取り戻してほしいなと思います。




by yoshi-aki2006 | 2022-02-10 22:33 | 日々雑感 | Comments(0)  

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