父母考
2006年 09月 23日
急に父上が亡くなられたそうだ。
夫婦仲が悪かったらしく母上がポツリと
「ああ、これでお父さんの悪口を言わなくて済むわね」と
おっしゃったそうだ。
子供としては辛い話だ。
その方は葬式の時、こらえていたものが堰を切ったようにあふれてきて慟哭している自分にびっくりしたという。
今まで母を守って、父には辛く当たってきた(らしい)
でも、ほんとは父上に甘えたかったんだよね。
夫婦仲が悪い場合、最大の被害者は子供だ。
子供はお母さんがお父さんを嫌いとか
お父さんがお母さんを嫌いとか
そんなこと関係なく父、母が大好きで同等に甘えたい。
なのに大人のエゴで
「お父さんってこーだからさ、あんな人になっちゃダメよ」とか
母親から禁止がかかる。子にとっては母親の禁止は「愛されなくなったらどうしよう」と死活問題だ。だから自分の「お父さんに甘えたい」という気持を必死に殺して母親の盾になろうとする。
その人は父上の葬儀のとき、ふと、父上に甘えたかった本当の自分の気持に気がついたのかもしれない。そして、お父さん、ゴメンねーとも思ったんだろう。お父さんの孤独が自分の孤独と
重なりもしたのだと思う。
夫婦仲が悪い家には緊張がある。
子供がお父さんと仲良くしているとお母さんの機嫌が悪い。
お母さんにくっついている子供を見ると父親はつまらない。
私が正しい、ということを子供がなつくかなつかないかで図ろうとする。
ずいぶんちっちゃいレベルの話じゃないか。
いたいけな子供を自己肯定の道具につかうなんて。
みんな親の、大人のエゴだよね。
知人のS子さんのお父さんは「ママが世界で一番さ」というのが口癖だそうだ。
ママはS子さんとお父さんが仲良くしているとうれしそうにしているという。
いいパパ、いい男だよね。
S子さんは自己実現をしっかりできている。
幸せな結婚もだ。
夫婦仲が悪い家の子は結婚しても夫婦仲がしっくりしていないことが多い。
思い浮かべればあの人んちも、そしてこの人のケースも。
人に対する信頼の根源は父母と自分との良い関係。
大人のエゴで子供の気持をゆがめたくないものだ。
by yoshi-aki2006 | 2006-09-23 11:37 | 事象観察 | Comments(0)