優待奥様とお会いする路線

「あーら! あなた! 」と見知らぬ奥様から声をかけていただく機会が圧倒的に多い路線や地域がある。今日も、落ち着いた寿司屋でランチをしてお腹をさすってレジに向かおうとしたら。

「あーら、どうも~」と奥様達に声をかけていただく。
テレビにたまに出るので、「見たことある人」というわけだ。
銀座、赤坂、麻布、広尾、恵比寿・・・・。
そういう地域では歩くたび、
「いつも見てますよ」とお声をかけていただく。
ありがたいことだ~。

冷や汗をかきながら
「あまりみっともない格好とかしては歩けないですねえ」と挨拶をする。

もっともむこうさまもこちらがあまりみっともない姿の時はそっとして置いてくださるのだろう。というか、そういう時は「誰この人」と見過ごしてしまわれるのだろう。

昔、アナウンサーの逸見さんが私が座る電車の座席のまん前にお立ちになった。逸見さんはガムをかみながら明るく放心されていた。そういうときは見て見ぬふりをするのがエチケットだと思った。きっと彼はフツーの人タイムを楽しんでいると思ったからだ。

でも、目が合うと知らなくても一応は目礼はしておく。女優さんは難しい。ホテルや局のトイレで会ったとき、同じ鏡に人の顔が映るのを嫌う人がいる。今までそういう人を二人見た。
どちらも売れっ子だったが一人はいつのまにか消え、もう一人は蹉跌があって沈み、ずいぶんたってからやっと浮上した。一皮むけたんだと思う。

子供の頃、軽井沢かどこかのリゾートホテルでジェリー藤尾さんと遭遇した。当時の彼は超売れっ子だった。私たちが「ワーっ、ジェリー藤尾さんだ~」と大はしゃぎすると彼はファンキーな調子で合わせ笑わせてくれた。そのときのことを思い出すたび、たった一回、実物を見ただけなのに「いい人だったなあ」と思う。子供の私たちに心温まる何かをプレゼントしてくれたんだと感謝する。
また、観劇の時、衣装を身につけた前川清さんが客席を通って退場される際、ぱっと目が合うと笑みを含んだ顔で返してくださった。お芝居を見に来た人にいい気持をプレゼントしてくださったんだと思う。

業種は違うがそうした大先輩、超ビックスターのありように学んで、
「あら、あなたー」と声をかけていただくと、私も「まあ、どうも~」とお返しする。
知られるということはとってもうれしいことだから。ましてお声をかけていただけるなんてホントにありがたいことだから。

by yoshi-aki2006 | 2007-05-23 18:48 | アンテナ | Comments(0)  

<< 「泣き」考 うぬぼれ鏡 >>