横山大観展 すべりこみ

ながーい全国行脚の出張が一段落付いたので、さっそく朝一番で近所の新国立美術館にひとっ走り。
10時開館だが、10分遅れた。
すると既にお待ちタイム10分。
やっと中に入れたと思ったら、ねっとり見よう、しっかり見よう、この際、たっぷり見よう、夫婦、お友だちでお話しながら見ようという人、人、人の山でなかなかすーっと見ることができない。

美術展に行くたびに思うのだが、日本人は、いや、世界の人はかくも絵、美術工芸品などを愛することよ、のう。

こんな朝はよから、わんさかわんさか美術展に来る人がこんなにも多いことに人々の愛するものは何かということを思い知らされる。

大観は生々流転の図が有名だが、大正時代の明るい作風も素敵だ。
みずみずしくて華がある。
ノッていたんだなあ、と思う。
昭和に入ってからも大胆に構図の冒険をしていて、意欲的。
ただ、晩年の極みには相当体がしんどかったんではないかと思う。

帰ろうとふとみると五大美術大学卒業制作展も開催していたので母校の武蔵野美術大学卒展をみる。
みんな達者で頼もしい。
買い上げたいなという作品は二作あった。
やはり、絵なんだからあんまり暗いのはダメだ。おどろおどろしいものも、悪くはないが買い上げたい気持にはならない。
小説も絵も読む人、見る人がいてはじめて成立するものである。
キレイなもの、清潔感のあるもの、充実したもの、豊かなもの。
買って飾りたいと思える作品がいい。
単に絵筆が達者なだけではダメなのだ。
見る人をある種楽しませる、気分よくさせる絵がいいわけである。

横山大観はその点をよくわかっていた人ではないかと思う。
平山郁夫氏、東山魁夷氏などはさらにそういう感覚がシャープな人であるように思う。
時代の経済の流れ方を照らして、横山大観の作風はちょっと控えめなくらいだと思った。
大酒伝説など変人奇人ぶりを伝えるエピソードがあるが実は演出であったという説も聞く。
画集を買ったら、なるほど、気のやさしそうな風貌をされていた。
いろいろに考えて、「伝説」も作品にしたのだろうな。

by yoshi-aki2006 | 2008-03-02 12:48 | アンテナ | Comments(0)  

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