2011年 01月 20日 ( 1 )

 

負い目にすがりつく人

「あの、もしもし」
「はい?」
「お宅、東京にお住まいですか?」
「は」

風体の卑しからぬ70才過ぎくらいの男性に呼び止められました。
こちとら、中国語のレッスンが終わって「さあ、体ほぐしに」と急いでいる身。

なんでござりましょうや、ご老体?

と聞けば、飲んでここにたどり着き、ふと財布を見たら、箱根に帰るのに金が330円足りないのです、という話。

何? この寒空に330円足りず、駅近のこの建物に立ち尽くしているというわけか。
気の毒に。
やるよ、330円くらい・・・・と財布を出しかけて、馬鹿いってんじゃないよとはたと手を止めた。

あんた、二軒もはしごして飲んで金が足りなくなったといったね?
携帯でその飲み仲間に借りたら?
あるいは箱根まで帰り、家族なり、近所の知り合いにでも頼んだらいいがな。

いい年をして見ず知らずの通りかかりの私に何を調子の良いことを言っているんだ?
お人よしに見えているらしい自分の顔が恨めしい。

じゃ、駅員さんか警察にいえばどうですか?

「いや、警察は信用ならない」
えっ、じゃあ、通りがかりの私は警察よりも信用してもらえているの?

ホントふざけたご老体でした。顔はしらふ風でしたし、風体もけして破綻していなかったけれど、論理がおかしい。
人の負い目にすがろうとする新たな詐欺ですかね?
そんなふうに疑う気持ちにも罪悪感を持てというの?

330円あったなら、飲んで電車賃がなくなったあなたにではなく、もっと違うことに寄付するよ。

とはいえ、駅員さんに話をつなぐところまではやりました。
まったくこの人としての負い目というやつは。
親しい知り合いもこのやっかいな負い目のために命を落としたり、仕事を棒にふったり、損なことに巻き込まれていったんだんだよな。
ずるい人は人の負い目を利用する。
病気の振りして。
かわいそうな立場を強調して。
「義」のために立てとか言われて。
絶対、その手に乗るもんか。
乗ったら最後、金も名誉も命もいくらあっても足りないや。

by yoshi-aki2006 | 2011-01-20 14:02 | 人間考察 | Comments(2)